2018年05月08日

一人当たり付加価値額を高め、骨太の経営体質に

経営指標の中でも特に重要な指標の一つとして「一人当たり付加価値額」がある。

1人当たり付加価値額は付加価値額÷従事者数で示される。
付加価値額の代わりに、売上高総利益(粗利益)を使う場合もある。

製造業や建設業などで売上原価に社員の労務費や減価償却費が含まれる場合は、売上高総利益に「労務費」、「減価償却費」を加えて計算する。

アルバイトやパートは正社員との給与比で換算をする。凡そで構わなければ、アルバイトとパートを0.5人で計算しても構わない。

業種業態によっても差があるが中小企業の場合、一人当たり付加価値額の平均は約800万円、目標は1,000万円だ。

一人当たり付加価値額を把握していないと、業務量に比例して従業者を増やしてしまい、売上が増えても利益は残らない。

1人あたりの付加価値額を上げるためには、分子にあたる付加価値額(粗利)の絶対額を増やすか、分母の従業者を減らすか、いずれかとなる。

一人当たり付加価値額図1.png

多くの場合、従業者を現状維持で、付加価値額(粗利)を増やす方法を検討する。

社歴とともに、事業数が増えている場合は棚卸を行い、利益率の高い事業に経営資源を集中させることで、売上をさらに拡大できないかを検討する必要がある。
利益率が低い、もしくは赤字の事業は、従業者を減らして売上を維持する方法を検討する。

儲かる事業と儲からない事業を把握することが、経営基盤を強化するためのスタートになる。
posted by 難波治彦 at 16:12| Comment(0) | コラム

2018年04月28日

通販事業の成否を分ける「CPO」と「LTV」

CPOとLTVは、通販で最も重要なキーワードだ。

CPOは”Cost Per Order”の略で、注文1件をとるために、必要となる費用である。
売上を獲得するたためには、何らかの販促が必要になる。
販促にかかる費用を注文件数で割った金額がCPOである。

商品原価を正確に把握していても、CPOについては無頓着な企業が多い。
計算して貰うと、大抵の場合はCPOの高さにショックを受ける。

WEBサイトを立ち上げれば、そこそこ売れるのではないかという幻想を持ちやすいが、ネット通販でコストがかかるのは立ち上げ後の販促である。

PPC広告を例に上げて説明すると、CPOの算出方法は以下の通りだ。
・PPC広告:30,000円
・注文件数:6件
・CPO:5,000円

もしくは、
・クリック単価:50円
・コンバージョン率:1.0%
・CPO:5,000円 
この場合、CPO = クリック単価 ÷ コンバージョン率 となる。

もし、PPC広告の対象商品が利益率50%、上代2,000円のマグカップだとしたら、4,000円の赤字である。(ここでは、送料や作業コスト等は考慮していない)

しかし、このPPC広告は失敗かといえばそうではない。2,000円のマグカップを買ってくれた顧客が御社のファンになり、次は自ら御社のWEBサイトにアクセスして、粗利益額30,000円のダイニングテーブルを買ってくれたとしたら、初回の投資は回収できる。

このように、顧客が企業やブランドにもたらす利益の累計額をLTVという。LTVは”Life Time Value”の略で、顧客生涯価値とも言う。

ネット通販を始めると集客策に気を取られがちだが、一度商品を購入したお客に、繰り返し購入してもらうための「リピート促進策」がなければ事業利益は増加しない。
posted by 難波治彦 at 22:33| Comment(0) | コラム

2018年04月09日

その商品はあと何年稼げるか?

商品のライフサイクル500.jpg
 商品には寿命がある。大量の注文書でFAX機が悲鳴を上げる商品であっても、いずれは市場から退場する時がくる。

 商品が市場に登場し、撤退するまでの「プロダクトライフサイクル」は、著しく短くなっている。

 中小企業庁によると、1970年代はヒット商品の約6割が、5年以上企業に利益をもたらしていた。
 ちなみに当時のヒット商品には、日清食品の「カップヌードル」やソニーの「ウォークマン(カセットテープ)」がある。

 しかし2000年代になると、5年以上市場に君臨する商品はヒット商品の内5.6%しかない。

 ヒット商品が売れなくなる理由として、もっとも多いのが低価格品の登場である。価格競争では、スケールメリットを出せない小さな会社に勝ち目はない。

 プロダクトライフサイクルは、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」に分けられる。
 小さな会社は、自社商品と近似するカテゴリーの導入期には市場参入せず、成長期に入ってから参入した方が、楽に売上を獲得できる。導入期は多大なプロモーション費用が掛かり、売上が読めないからだ。

 また成熟期には価格で競わず、付加価値によって差別化をはかり、ターゲットを絞り込む戦略が望ましい。

 リアル店舗だと不本意に価格競争に巻き込まれたり、小売店や問屋から広告宣伝を求められ、大きな費用が発生する場合がある。

 その点ダイレクトマーケティングは、ターゲットをセグメントして直接付加価値を訴求できるため、価格競争に巻き込まれにくい。

 ダイレクトマーケティングと小さな会社は相性がいい。
posted by 難波治彦 at 22:04| Comment(0) | コラム
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